(株)ドリームマーケティング
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2017年07月20日

IKEAのアメリカでのブランド力

アメリカに半分滞在していますが、IKEA(アメリカではアイケアと発音)は本当に便利です。




アメリカの家具屋さんはショールームに行っても在庫を置いてなく、
数週間から数ヶ月配送に時間がかかったり、配達料だけで200〜300ドルはかかったりして、

中々家具を買うことが出来ません。


そこで、大人気になっているのが、IKEAです。

正に家具業界のイノベーションを起こしたのがIKEAです。

圧倒的な低価格と素敵なショールームで提案を行い、
倉庫で商品をピックアップしてDIYで自分で組み立てるビジネスモデルが、
アメリカ人の心を掴んで離さないブランドを構築しています。

日本にいる時ももちろんイケアに行ったことがありましたが、
見るだけでほとんど買い物をしたことがありませんでした。

日本だと配送料が無料で在庫も大体どこでもあるので、
イケアで買い物をする理由がそんなにありませんでした。

ところがアメリカに来ると、
そのブランド力は圧倒的です。

8月に北欧3カ国に滞在しますので、
そのイケアの強さの秘密も現地で分析をしたいと思っています。







イケアのホームページには、

「マーケティングとは、イケアが提供しているものをより多くの方に知っていただけるようにするもの」

とあります。

イケアの強さであるマーケティングの秘密を探ってみました。


IKEAは1926年にスウェーデンの片田舎の小さな家具屋からスタート。
今ではIKEAは世界の300以上の全店舗を同じコンセプトで運営しています。

IKEAの特徴として、

●デザインが良くて、比較的安い
●自分で組立てる
●店が巨大で、テーマパークのようなレイアウト
●店内にレストランや託児所がある
●店内では自分で商品をレジまで運ぶ

さらに、興味深い特徴として、

●スローガン

 ”Low price with meaning” “Democratic Design” というスローガン
  良いものを多くの人が買える価格で提供する全社精神

●マネジメント方針

 デザインからリテールまでをすべて自社でマネジメント

●商品戦略

 製品構想は、各製品(イス、ベッド、タンスなど)ごとに、
  ジャンル軸(Scandinavian, Modern, Country, Young Swede)と、
  価格軸(High, Medium, Low)の12セル を、薄く広くカバーするように計画。 

●価格戦略

 価格は各セルの市場価格から30~50%低い価格を設定し、商品開発を開始

●デザイン

 デザイナーは自社社員または業務委託を使い、すべてコンペで発注

●素材の選定

 設計者は、より安く、よりデザインよくなるような素材を選定

●製造業者は世界中の1800の契約会社に、すべてコンペで発注

 委託先は中国18%、ポーランド12%、スウェーデン9%

●IKEAの特徴(競合店との違い・差別化)

・フラットパック
・ワンウェイ方式
・ショールーム(トータルコーディネート)
・オリジナルデザイン
・エンターテイメント性

●〔1974年、失敗の理由〕

・標準化戦略
・消費者動向把握しきれず
・物流センターがないため、高価格
・テナント

●再進出時の戦略

・日本向けの商品を開発
・数百軒の家庭を訪問し、消費者動向を把握
・上海・八千代・クアラルンプールに物流センターを設置することにより、低価格を実現
・大型店舗


●ローコスト

 「自分で組立てる」ことで、物流コストを競合より84%削減

という形で、明確な経営の方針があり、全世界の中で圧倒的な競争力を維持して展開をすることを
可能にしています。

つまり、世界で勝てる戦略を明確に持っているという事になります。

IKEAの戦略は、

Eliminate: 配送、組立、製品耐久性を放棄
Reduce: 製品ラインナップ、店員数を削減
Raise: デザイン、納品速度を向上
Create: 大規模モデルルーム、顧客関与型購買を創造

にまとめられます。

そして、1985年にアメリカに進出をして、数年間は売上が伸びずに、苦戦していました。

失敗の最大の理由は、アメリカ人が家具を大事にしており、
廉価なIKEAの製品を買いたがらないこと、でした。

アメリカ人は、家具を一生買い替えないほど、大切に使う文化だったのです。


そこで、IKEAが行ったマーケティングの戦略は、

「家具なんだから、いつだって買い替えたっていいじゃない。
 そうしていろんなライフスタイルを楽しもう」

というキャンペーンです。

このキャンペーンを通じて、気軽に家具を買うムードをつくりあげ、大成功。
今ではIKEAの総売上の11%をアメリカが占めるまでになっています。

IKEAは、配送、組立、ラインナップというサービス価値を放棄し、
デザイン、テーマパークのような店舗という価値で一点突破に成功し売上を伸ばしています。


IKEAの売上向上の必勝パターンは、

捨てる所を捨て、勝てる所で一点突破で売上を伸ばすとともに、

世界展開をする中で逆境をバネに顧客の文化を変えるマーケティングに成功している。


IKEAは日本でも、「狭くても大丈夫」とばかりに「3畳エキシビション」を京都東寺で開催し、

日本の家具文化そのものを変えようとしている。

今後も世界を変えるIKEAのブランド力の構築、マーケティング、経営手法に注目が集まります。

日本企業にも学ぶべきところがたくさんあります。


例えば、40年続くロングセラー商品は日本人デザイナーがデザインしています。

 イケアのルーツはスウェーデン南部のエルムフルト。

1943年、イングヴァル・カンプラードにより創業。

イケアの歴史の中で、40年以上販売を続けているロングセラーの商品のアームチェア「ポエング」は、耐久テストを630万回もクリアするほどの強い構造を持ち、10年間の品質保証もついていながら低価格を実現。

これをデザインをしたのは、日本人デザイナーの中村昇氏。

創業者にコスト意識を叩き込まれ、「優れたデザイン」「低価格」を備えたものだけが商品化することができると語っています。


また、北欧流の人を大切にする経営も素晴らしい。

イケアは、2014年にすべての従業員を正社員化し、短時間正社員制度という新たな制度を設けています。

船橋にある店舗には託児所があり、さらに充実した社員食堂など、社会保険や福利厚生に特に注力しているのです。

大切な戦力である子育てママを支援し、仕事と家庭を両立できる環境づくりを整えています。


現在、マネジャーの48%が女性リーダーのポジションの50%を女性、50%を男性にすることが目標です。



●イケアを知るページへようこそ(公式)

http://m.ikea.com/ms/ja_JP/this-is-ikea/about-the-ikea-group/index.html#key-figures
  

Posted by 脇田勝利 at 00:05Comments(0)経営が良くなるノウハウ