残念ながら、日本人は世界でも類を見ないほど「交渉下手」と言われています。
実際、多くのコンサルティング先の方から
「思ったように言いたいことも言えず、歯がゆい思いをした」
「先方と分かり合えずに成約をすることが出来なかった」
などの声をよく耳にします。
日本人が交渉が苦手な理由として上げられるのが、
「日本人は交渉相手の出方を見てから交渉戦術を決めていく傾向が極めて強い」
ということが上げられます。
では、なぜ日本人は「交渉下手」なのでしょうか?これには下記の2つの原因があります。
(1)日本人の多くの交渉スキルが、自らの経験を通じて習得してきた「我流の交渉スタイル」
(2)「話せば分かってもらえる」という相手に対する期待感が非常に大きい
そもそも交渉(negotiation)とは、
「特定の問題について相手と話し合い相手との合意に到達すること」です。
つまり、この交渉はビジネスの現場ではもちろん、
人間が生きていくために、かなり重要なコミュニケーションの一つになります。
そんな方へのお勧めなのは、ハーバード流の交渉術です。
交渉には「立場駆け引き型交渉」と「原則立脚型交渉」の2種類があり、
多くの日本人は「立場駆け引き型交渉」をして、間違った交渉をしているのです。
ハーバード流の交渉術でお勧めなのは、後者の「原則立脚型交渉」である。具体的には、次の要素からなっています。
(1)人
人と問題を分離せよ
(2)利害
立場でなく利害に焦点を合わせよ
(3)選択肢
行動について決定する前に多くの可能性を引き出せ
(4)基準
結果はあくまでも客観的基準によるべきことを強調せよ
交渉において、いたずらに自己利益確保のみに走ると,交渉相手との人間関係を修復不可能なまでに破壊してしまうことがあります。
逆に交渉において,交渉相手との人間関係をいたずらに気にし過ぎると,自己利益が思うように確保できず妥協的な結果に終わることがあります。
どちらも交渉としては失敗です。
ここにおける基本的な考え方は、交渉を通じて、交渉相手とWin-Winの関係を築こうとする姿勢です。
つまり、ハーバード流交渉術とは、
(1)自己の利益を確保し(2)交渉相手との関係を必要以上に破壊しないための交渉術
と言えます。
具体的には、下記のステップで毎日の商談を行ってみてください。
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【ハーバード流交渉術で商談を上手くいかせる方法】
(ステップ1)相手のお手伝いをしたいと伝えて、自分が味方でありメリットを与えることを伝える。
(ステップ2)相手の困っていることや要望を聴き出す
(ステップ3)相手の課題を解決できる提案を行い可能な限り最大のメリットを伝える
(ステップ4)お互いのゴールやビジョンがイメージ出来るように成功の姿を描く
(ステップ5)お互いWIN-WINとなる具体的な「行動」を決定する
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最も重要なのは、商談の前に(ステップ4)と(ステップ5)を明確に描いておくことが大切です。
出来れば、
(1)最高レベルの契約&合意
(2)中間レベルの契約&合意
(3)最低ラインの契約&合意
の3つの落とし所を描いて、商談に臨んでください。
あなたは質問を中心に2〜3割、
相手に7〜8割の割合で楽しく話していただき、
上記の5つのステップに従い商談を進めていけば、
上手くいきます。
これからの日本人に重要なのは、きっちりとWIN-WINの関係を構築できる交渉術です。
「お客様のことをすぐに聞く営業マンは、所詮お客のことを考えてない」のです。
アメリカの弁護士は「判例から判決理由と傍論(判決文のうち判決理由と関係のない部分)を分け、
原則を探すこと」が仕事になっています。
つまり、科学的な交渉方法を実践しているのです。
ビジネスに限らず、人間生活全般において、「交渉事」から逃げる事はほとんどの場合できません。
人間関係におけるあらゆるコミュニケーションが、実は交渉なのです。
相手から何かを奪う交渉ではなく、お互いにメリットのあるWIN-WINを実現するハーバード流交渉を実践してみてください。