先日のブログ(
http://marketing.yoka-yoka.jp/e971167.html)に引き続き、
カリフォルニア文化とアートについて六本木の国立新美術館で開催中の「カリフォルニア・デザイン」展についてのレポートです。
当日は、美術評論家、作家である海野弘さんによる「カリフォルニア文化とデザイン」の講義もあり、
とても刺激になりました。
海野弘さんは、世紀末美術などを中心に100冊以上の著書を執筆されています。
●海野弘さん
http://www.unnohiroshi.com/
とてもカリフォルニアらしくない(失礼!笑)おじいちゃんという感じですが、
静かな語り口の中にある、とても刺激的なメッセージが強く込められていました。
●海野弘さんの著書の一部
カリフォルニア文化を語っていただくと、
間違いなく日本で最高レベルの研究者です。
その講演の内容のポイントをご紹介させていただきます。
印象的だったのは、
●アメリカ東海岸はヨーロッパ文化の玄関口、西海岸はアジア文化の玄関口
●カリフォルニアを見ると、アジアの時代と言われている21世紀が分かる。
●カリフォルニアでは人は自然の中で生きており、一体化している。
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【海野弘さん講演会「カリフォルニア文化とデザイン」のポイント】
●カリフォルニアは、音楽とアートが融合している
イーグルスのホテルカリフォルニアの歌詞は、1969年を境にカリフォルニアの良き文化が終わってしまったという歌。
ヒッピー文化など、68年がアメリカが最高潮だった。
カリフォルニアドリーミング、サーフィンUSAの頃のアメリカが最高潮
●なぜ、カリフォルニアに惹かれたか?
ヨーロッパの世紀末の研究からスタートし、1920年代について研究
アメリカのケネス・アンガー監督のアングラ映画にハマった。
それがカリフォルニアに繋がった
最初にNYに行ってアールデコを見て回り、ロスも見て回りロスに惹かれた。
カリフォルニア文化史を執筆したいと感じたのだ。
ケルアック ビートジェネレーション めまいの街
●ヨーロッパ文化とアジア文化の架け橋となるカリフォルニア
NYなどのイーストコースト 環大西洋文化でヨーロッパ文化が強い
20世紀はアメリカの時代
ウエストコースト 環太平洋文化でアジア文化が強い
21世紀はアジアの時代
カリフォルニアは21世紀を考えると大きな実験場
NY文化は頭文化
カリフォルニアは身体文化
カリフォルニアは、裾野に大衆的なアートであり、ドライブインなどのロードサイトの文化
今後の時代はカリフォルニアが大きなテーマになる
1980年代の後半になって認められてきた
●アメリカに広がったカリフォルニア文化
1939年 サンフランシスコ万博開催 明日の世界がテーマ
ニューヨークでも同時に万博開催
サンフランシスコがそれだけの力を蓄えていたのだ
1964年にNYで万博が開かれる
アナハイムにディズニーランド54年オープンし大成功したのをきっかけに、ウォルトディズニーがプロデュースしアメリカ全体にカリフォルニア文化が認められた
カリフォルニア的なデザインがアメリカの中心になった
NYがカリフォルニアに乗っ取られたのだ
アメリカ全体にカリフォルニアデザインが広がった
●カリフォルニアデザインの特徴
イームズの椅子
針金など足が細いのが特徴
下が軽くて宙に浮くデザイン
しかもちゃんと重さに堪える
航空機の産業が発達して新しい材質が登場したから
ストッキングも軍事産業
オーガニックが特徴
●カリフォルニアデザインには、いろんな名前がある
・ミッドセンチュリー 世紀の半ばのデザイン
・コンテンポラリー 同時代的
・フィフティーズ 50年代
●カリフォルニアデザイン二つの傾向
(1)先端的・最先端
(2)親しみやすく素朴で誰もが作れる
アーツ&クラフツ運動
イギリスのデザイナーがアートと工芸の区別を辞めて生活の中で使えるものに、誰もがアートを作れるような運動
イギリスから北欧、ヨーロッパ、アメリカに伝わるが、カリフォルニアで一番成功した
カリフォルニアデザインは自由自在に飛んでいるようなデザイン
●カリフォルニアの住宅
カリフォルニアの空間の特徴
重量感を無くす
軽快な形
住宅の内と外の境界を開いて開放的にする
アジアに似ている 障子などがあり日本建築に近い
オープンテラスなど開放的
エクステリアとインテリアを一体化
開放性
木屋のような建築が多い
映画のビバリーヒルズ
室内にプールを作ったりしている
カリフォルニアはアメリカ人にとって天国のような所と言われている
●カリフォルニア文化まとめ
アジアとヨーロッパを結びつける
浜辺の文化
境目 陸と海 端でもあるが始まり
様々な異文化で融合していく大きな実験場だった
20世紀の世紀末文化として考えようとしていた
これからどうなるのかを考えることのヒントになる
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最後に私から下記の質問をさせていただきました。
「カリフォルニアでは自然と人間が一体化していることを体感しましたが、
海野 弘さんは、カリフォルニアでの自然と人間の関わり方、
そしてそれがアートに反映されている点について、
どのようにお考えでしょうか?」
カリフォルニアでは人は自然の中で生きている。
スピリチュアルな文化が日常
どうやって人と自然の融合をしていくかを実践しているのがカリフォルニア。
ということは「身体と自然の融合」に他ならない。
カリフォルニアは、ダンスなど身体文化であり、癒しとカルトの大地でもある。
自然のマジックを信じ、良くも悪くもオカルト的な部分があるのが面白い所。
20世紀の世界は人工的なものを追求してきた時代だったが、
これからは自然との一体を考える必要がある。
これからも、自然との繋がりについて一緒に学んでいきましょう。
海野 弘さん、ありがとうございました。
今後も一緒にカリフォルニアや人間と自然、そしてアートの研究を
私も実践していきたいと思います。
ありがとうございます。