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2018年05月24日

イタリアに学ぶブランドの創り方

日本がイタリアに学ぶことは非常に多いです。

イタリアにブランディングに視察に行って感じたのは、
EU統合以来、日本以上に厳しい経済状況の中、小さな企業が連携して世界的にブランディングやマーケティングを実践している、
「強さ」でした。


イタリアの中小企業の被雇用者数について規模別の推移の詳細を見ると、従業員数 1~9人の零細企業が2008年以降も総括して増加傾向にあり、唯一、雇用が増加傾向です。

イタリアは欧州の中で最も中小企業の数の多い国であり、その数は EU 加盟国 27 カ国特に零細企業の占める割合は非常に高く、
EU 加盟国27カ国では 92.2%であるのに対し、イタリアは 94.6%となっています。

中小企業の就業者数では、
EU 加盟国 27 カ国では7割に達していないが、イタリアでは約8割とかなり高い割合となっている。

これらの中小企業が生み出す付加価値もイタリアでは約7割近くで、欧州の他の国に比べ、
中小企業が非常に重要な役割を担っていることが分かります。

日本以上にEUの中で過酷な環境にあるイタリアは、
知識集約型産業や高い技術を要する産業の中小企業がチャンスを見出しています。

EU内でのこれらの産業に携わる企業数では、
製造業・サービス業共にイタリアは企業数の割合がトップレベルです。


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●欧州の中小企業における知識及び技術集約型企業
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該当企業数の多い国とそのEU内中小企業数に占める割合の割合

(1)製造業

●ハイテク産業(HTM)(医薬品、コンピューター、エレクトロニクスなど)

1位 ドイツ 17%、
2位 英国 15%、
3位 イタリア 14%、
4位 チェコ 8%、
5位 フランス 8%

●ミディアム・ハイテク産業(MHTM)(化学、機械、自動車など)

1位 イタリア 19%
2位 ドイツ 14%
3位 チェコ 13%
4位 英国 9%
5位 スペイン 8%

●ミディアム・ローテク産業(MLTM)(コークス、ゴム・プラスチック、 金属製品など)

1位 イタリア 21%
2位 ドイツ 11%
3位 スペイン 10%
4位 フランス 9%
5位 チェコ 9%

●ローテク産業(LTM)(食品、飲料、たばこ、繊維など)

1位 イタリア 21%
2位 フランス 12%
3位 スペイン 10%
4位 ドイツ 8%
5位 ポーランド 8%



(2)サービス業

知識集約度の高いサービス (KIS)

1位 イタリア 18%
2位 英国 11%
3位 ドイツ 10%、
4位 スペイン 10%
5位 フランス 9%

内訳は下記の通り

 マーケティング (KIMS) 法律、会計、経営管理など

 1位 イタリア 20%
 2位 スペイン 11%
 3位 ドイツ 10%
 4位 英国 10%
 5位 フランス 8%

 ハイテク (HKIS) 映画、ビデオ及びテレビ制作・配給、科学研究開発など

 1位 英国 17%
 2位 イタリア 13%
 3位 フランス 12%
 4位 ドイツ 11%
 5位  ポーランド 6%

 その他 (OKIS) 出版、獣医、行政サービスなど

 1位 フランス 14%
 2位 イタリア 12%
 3位 スペイン 11%
 4位 ドイツ 11%
 5位 英国8%


知識集約度の低いサービス(LKIS)卸売、小売、修理、保管業など

1位 イタリア 18%
2位 スペイン 14%
3位 フランス 12%
4位 ドイツ 11%
5位 英国 7%

資料: 『Annual report on small and medium sized enterprises in the EU, 2011/12』より作成
引用先 日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部 資料より
https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/report/07001625/07001625.pdf





例えば、私も大好きな「パルミジャーノ チーズ」をご紹介します。

イタリアのパルマという18万人の小さな街で作られているチーズで、
「パルミジャーノ チーズ」の年間生産高はおよそ1500億円。

大企業が中核的な役割を果たしているのだろうと思っていましたが、実際には従業員10-15名程度の小規模企業が、小さな地方都市に300件ほど集積し、ブランドを形成しているのです

その300件の小規模企業が一つの組合を構成し、その組合が品質管理からマーケティング、販売戦略を担っています。

構成している小規模企業は、海外戦略などの特別なスキルは必要ありません。

彼らは、自分たちで決めた原材料のこだわり、作り方のルールを愚直に守り、美味しいチーズ作りに精を出しているのです。

それを組合の品質管理部門が厳正に品質確認し、合格証を発行し「ブランド マーク」をつけブランド化していくのです。

そのブレのない品質が世界的に評価され、次第に世界中で「パルミジャーノチーズ」の人気が高まってきたのです。


また、ヴィチェンツァにあるヴィチェンツァ県職人協会(Associazione Artigiani della provincia di Vicenza)が中心となり進められているプロジェクト『バッサーノ家具』の商標化は、その地方の特徴的な産業分野の製品に対して、ワインや チーズに原産地明記のマークがあるように食品以外の業種にも原産地商標を付けるというプロジェクトです。



イタリアにおけるブランド作りは、県や市からも賛同を得て公的なブランドとして発足させることを考えているところが、特徴的です。


何れの地方団体も、今やイタリアの特色になってしまった、のんびりとした時間感と官僚主義に抵抗しつつ、自分達の郷土の伝統をアイディンティティーとしていかに残していくかについてブランディングやマーケティングを追求しているのがイタリアなのです。


イタリアに学ぶブランドづくりは、日本人にとって必須と言えます。

6月12日に福岡で滅多にない講演を行います。

イタリアや世界中に学ぶ実践的な方法を伝授させていただきますので、
ご参加お待ちしております。

詳細・お申し込みは下記よりお願い致します。


●6/12福岡 目からウロコの「初めての海外販路開拓&仕入れ実践セミナー」
http://marketing.yoka-yoka.jp/e2041565.html
  

Posted by 脇田勝利 at 00:10Comments(0)