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2019年04月12日

ニューヨーク MBAの会 開催レポート「交渉とValue Creation」




ニューヨーク在住の「NY MBAの会」の主催の講演会のご報告です。

世界を舞台に活躍されている佐野和秀さんによる講演『交渉とValue Creation』のレポートを事務局の田村さんからいただきましたので、
ご紹介させていただきます。

田村さん、いつもありがとうございます。

佐野さんはニューヨークで何度も食事をご一緒して連携をさせていただいておりますが、
非常に優秀で誰からも好かれる人柄も素敵な方です。

そして、東京大学卒業、ハーバードビジネススクールMBA卒業という最高レベルの学位をお持ちで、
現在、ニューヨークを拠点に世界中で最先端のプロジェクトを数々成功されております。

下記、講演のレポートになります。素晴らしいノウハウですので、皆様の参考になれば幸いです。

講演をしていただきました佐野さん、ありがとうございました。


引き続き、オールジャパンで世界中で成果を上げて参ります。

ありがとうございます。



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【第50回NY MBAの会 開催レポート】

3/28(木)に、事務局メンバーでもあり、国際金融の舞台で日々交渉に携わっている佐野和秀さんに『交渉とValue Creation』と題して月例会を行い、 総勢36名 (内MBA 5名) の方々にご参加いただきました。

まず、交渉における、Claiming Valueと呼ばれる「限られた価値の奪い合い」と、Creating Value「価値を大きくする」という2つの方法の説明から講演は始まりました。

よく、交渉とは口八丁でいかに相手から多くの物を引き出し、自分ができる限り対象案件の価値を得ていく、という前者のClaiming Valueの技術だという誤解がありますが、MBAの授業では、まず交渉の対象である案件の価値そのものをできるだけ大きくした後に、その大きくした価値の分配を決めていく方法を学ぶそうです。

次に、交渉用語の説明を頂き、その中のアンカリングという用語を理解する例として、セオドアルーズベルト大統領の選挙時の逸話をご紹介されました。

これは、「選挙時に配るビラに印刷する自身の写真の使用料(300万ドル)を、写真家へいくら支払うのが妥当か」という問題なのですが、
実際に大統領が取った手法は「ビラに写真を使ってあげるので、写真家がいくら大統領側に払えるのか聞く」という、
「写真家に使用料を払う」のではなく、「写真家が使用してもらうお金を支払う」というアンカリングで、前提条件をそもそも覆すValue Claimingの事例でした。

次に、それぞれの価値観の違いを認識してValue Creationができた最近の事例として、
先日引退を発表したイチローが、Marinersとの契約金の一部である25百万米ドルを引退後に利息付で受け取ることにしていた、という契約についてお話されました。

これは、支払いを繰り延べることにより、法人と個人の割引率の違いを利用して価値創造をするものです。

資本市場に晒される法人は一般的に割引率が高いため現在価値が小さくなる反面、個人はむしろ将来価値の絶対額に重きをおいたり、むしろ収入がなくなる引退後に支払を受けられることに価値を見出すことができます。

試算では、この25百万ドルは当時の球団にとっては15百万米ドルの現在価値での費用認識、イチローにとっては61百万米ドルの将来価値での報酬の認識ができた、という考え方ができます。

また、マリナーズとしては贅沢税の回避(当該年度の総年棒の抑制)という戦略的に重要な目的が達成され、追加の価値が創造されています。

次に、上記のようなValue Creationができる交渉に必要な、お互いの違いを見つける方法と、違いに対する対処法について説明頂きました。

まず相手に質問すること。

これは基本的なところなのですが、しない人が多く、結果的にValue Creationの種を見つけることが出来ないケースが多いです。

こちらからも持っている情報を自ら開示することで、相手からも情報開示を引き出したり、相手の条件とすり合わせやすくすることも重要です。

また、複数の条件(金額x 時間等)を掛け合わせて交渉をすること、合意後でもお互いが利益を得られる限りにおいては合意内容を変更できる可能性を残しておく、などの方法もあります。

不確実で決められない要素については、コンティンジェンシー(発生する事象を想定して条件付けしておくこと)を予め決めておくこともできます。


ここで、イラクの大量破壊兵器保持問題でのラムズフェルド国務長官の発言を用いて

Known knows (「知っている」と知っている事象)は契約対象として決めてしまうことができ、
known unknowns(「知らない」ということを知っている事象)はコンティンジェンシーで決めておくことができ、
unknown unknowns(「知らない」ということすら誰も知らない事象)については信頼でしか解決できない、

という中間のまとめを頂きました。

次に、金融における融資案件の事例を用いて、交渉における登場人物及び価値観を把握していく3-D Negotiationという手法の重要性をご説明頂きました。

一見、お金を貸した銀行とお金を借りた企業、という2人の登場人物しかいないように見える案件でしたが、
その交渉をするにおいて必要な登場人物として、
相手企業のCEOやCFO、その会社を支える政府やその企業への投資家、その国の政府と絡んでいる自国の政府、一緒にその企業に融資しているシンジケーション銀行、自行内で一緒に働いている同僚、、、など、
国籍、会社の中でのポジション、対会社同士の関係性、国同士の関係性を考えることで様々な登場人物の存在を認識することができ、
交渉のカギとなるそれぞれの違いが見えてきやすくなる、というお話でした。

最後に、MBAの授業でも取り扱われる交渉人タイプ別診断を、佐野さん流に簡易化して「交渉人占い」という格好で参加者の方を交えて行い、会の雰囲気を和やかにしていただき、講演が締められました。

これまで仕事において普段何気なく行ってきていた交渉ごとでしたが、
こうしたフレームを用いて論理的にポイントを突いていただき、それをタイムリーな事例も含めた適切な実例に当てはめて理解できたことで、
参加者の腹落ち度が深く、参加者の方からの感嘆の声が事務局に寄せられるほど満足度の高い講演でした。

次回は4月25日(木)に株式会社Real Cosmopolitan CEOの日野さんをお迎えし、リーダーが海外で仕事をする上で必要な魅せ方(プレゼンス)をテーマにご登壇頂きます。

事務局 田村様より
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