(株)ドリームマーケティング
http://www.dream-marketing.jp/
http://www.dream-marketing.jp/
2012年03月27日
IKEA売上向上のポイントをレポート


昨日福岡の自宅のポストを見ると、分厚いカタログが一冊。
ついに来ました。家具業界の黒船IKEAのカタログです。
約380ページの分厚いカタログ、周辺の全戸ポスティングしているのでしょうか。
やはり、マーケティング上、その手法の上手さが際立ちます。
現在、日本国内に7店舗がオープンしています。
福岡県糟屋郡(4月11日オープン)
千葉県船橋市
兵庫県神戸市
埼玉県三郷市
神奈川県横浜市
大阪府大阪市
宮城県仙台市
IKEAはスウェーデン発祥で、従業員は世界各国で10万人を超え、世界中で300店舗以上を展開している世界最大の家具販売店。
家具といったらイケアというほど世界では浸透しています。
その理由は低価格、デザインのよさ、アフターサービス面のよさなど。
1947年に、地元の家具店と契約して格安販売を開始すると、これが大当たりしたが、数年後には同業他社との深刻な価格競争に巻き込まれることになり、ライバルの圧力によって、家具メーカーからの商品供給停止という深刻な状態となりました。
しかし、こうした事態をバネに、自社で独自のデザイナーを抱え、企画・製造・販売まで全てまかなう、現在のイケアのスタイルを誕生させるきっかけにもなりました。
また、この際にイケアの特徴の一つである「フラットパック(分解された商品は、できるかぎり薄く小さい梱包をされており、車のトランクに積んで簡単に持ち帰ることができる)」もこの頃誕生している。
福岡市周辺の方ならご存知だと思いますが、
すでにIKEA上陸のニュースは多くの方に知れ渡っていて、
認知度はとても高い。
国道3号線を走ると、2012年の年明け頃から、巨大なIKEAの看板が立っていました。
その中で、この分厚いカタログが自宅に届くと「捨てる人はまずいない」はず。
しばらくとっておいて、一度訪問してみようと思うはずです。
カタログの有効期限は、7月31日になっており、
ホームページにも誘導しています。
http://www.ikea.com/jp/ja/
イケアのホームページには、
「マーケティングとは、イケアが提供しているものをより多くの方に知っていただけるようにするもの」
とあります。
イケアの強さであるマーケティングの秘密を探ってみました。
IKEAは1926年にスウェーデンの片田舎の小さな家具屋からスタート。
今ではIKEAは世界の300以上の全店舗を同じコンセプトで運営しています。
IKEAの特徴として、
●デザインが良くて、比較的安い
●自分で組立てる
●店が巨大で、テーマパークのようなレイアウト
●店内にレストランや託児所がある
●店内では自分で商品をレジまで運ぶ
さらに、興味深い特徴として、
●スローガン
”Low price with meaning” “Democratic Design” というスローガン
良いものを多くの人が買える価格で提供する全社精神
●マネジメント方針
デザインからリテールまでをすべて自社でマネジメント
●商品戦略
製品構想は、各製品(イス、ベッド、タンスなど)ごとに、
ジャンル軸(Scandinavian, Modern, Country, Young Swede)と、
価格軸(High, Medium, Low)の12セル を、薄く広くカバーするように計画。
●価格戦略
価格は各セルの市場価格から30~50%低い価格を設定し、商品開発を開始
●デザイン
デザイナーは自社社員または業務委託を使い、すべてコンペで発注
●素材の選定
設計者は、より安く、よりデザインよくなるような素材を選定
●製造業者は世界中の1800の契約会社に、すべてコンペで発注
委託先は中国18%、ポーランド12%、スウェーデン9%
●ローコスト
「自分で組立てる」ことで、物流コストを競合より84%削減
という形で、明確な経営の方針があり、全世界の中で圧倒的な競争力を維持して展開をすることを
可能にしています。
つまり、世界で勝てる戦略を明確に持っているという事になります。
IKEAの戦略は、
Eliminate: 配送、組立、製品耐久性を放棄
Reduce: 製品ラインナップ、店員数を削減
Raise: デザイン、納品速度を向上
Create: 大規模モデルルーム、顧客関与型購買を創造
にまとめられます。
そして、1985年にアメリカに進出をして、数年間は売上が伸びずに、苦戦していました。
失敗の最大の理由は、アメリカ人が家具を大事にしており、
廉価なIKEAの製品を買いたがらないこと、でした。
アメリカ人は、家具を一生買い替えないほど、大切に使う文化だったのです。
そこで、IKEAが行ったマーケティングの戦略は、
「家具なんだから、いつだって買い替えたっていいじゃない。
そうしていろんなライフスタイルを楽しもう」
というキャンペーンです。
このキャンペーンを通じて、気軽に家具を買うムードをつくりあげ、大成功。
今ではIKEAの総売上の11%をアメリカが占めるまでになっています。
IKEAは、配送、組立、ラインナップというサービス価値を放棄し、
デザイン、テーマパークのような店舗という価値で一点突破に成功し売上を伸ばしています。
IKEAの売上向上の必勝パターンは、
捨てる所を捨て、勝てる所で一点突破で売上を伸ばすとともに、
世界展開をする中で逆境をバネに顧客の文化を変えるマーケティングに成功している。
IKEAは日本でも、「狭くても大丈夫」とばかりに「3畳エキシビション」を京都東寺で開催し、
日本の家具文化そのものを変えようとしている。
今後も顧客の文化を変えるIKEAのマーケティングに注目しよう。
(株)ドリームマーケティング
http://www.dream-marketing.jp/
Posted by 脇田勝利 at 00:05│Comments(0)
│経営が良くなるノウハウ
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。